毎年、ゴールデンウィークが過ぎると鴨川べりのお店で、川に張り出した床・ゆかを出さはります。6月1日から9月末までやったんが、去年からゴールデンウィークのお客はんをあてこんで5月1日から、上は二条から下は五条まで約70軒のお店が営業したはります。
この床、写真とかで見るといかにも涼しげで、隣に舞妓ちゃんでも侍らしてんの見たら、なんちゅう贅沢なて思わはりまっしゃろ。ところが、実際に行ってみはったら分かるて思いますけど、とにかく暑い、虫が多い、ビールはすぐにぬるなるし、お刺し身は干からびてきます。
「○×ちゃん、今度ご飯食べしたげよか?」
「いやぁほんまどすか?うれしおすぅ。で、どこ連れとぉくれやすのん?」
「せやなぁ、△△の床でもどうや?」
「×○はんのいけずぅ、それやったらうちはよろしおすわ。他のお姉さん誘うとぉくれやす」
ちゅうかんじで、特に舞妓ちゃん等には不人気どす。そらあないな格好して、座ってたらたまりまへんで。頭は一週間も洗うてへんさかい「お姉さん、頭痒ぃわ」ちゅうて簪の先でカリカリ、「なんや白粉が汗で流れて来そうどす」ちゅうて部屋に避難...舞妓ちゃんにとって、一番嫌いなお座敷どすて
そんなんで、地元の者はめったなことでそないなとこ行かしまへん。他所からのお客はんが連れて行けて云われて、百歩譲って行くんやったら夜の9時過ぎどすなぁ、料理はいりまへん。よう冷えたビールを少しづつ運んで貰う。虫が嫌いなお人は連れて行かへん、ちゅうとこどっしゃろか
おんなじ床でも、涼しいとこもおす。そう貴船・きぶねの床どす。ここは市内と比べて気温が5度は低おす。おまけに鴨川の床は、川面から3メーターくらい高いとこどすけど、ここは床から足を水につけられる位どす。ほんでその水がまた冷とおすねん。そら真夏の暑い日ぃに来て、足水につけながら「すき焼き」食べたら美味しおっせ。まわりに舞妓ちゃんがおったら云うことなしどす。貴船のある料理屋はんでは、一見さんでも舞妓ちゃんを呼べんのどすて。(宮川町の舞妓ちゃんどす)
舞妓ちゃん二人・90分の基本料金が65,000円
1名追加で31,000円
30分追加ごとに各5、000円どすて。 あ、もちろん料理は別料金どすえ〜
興味のあるお方はどうぞ
長かった「をどり」もようやっと終わり、京の町にはいつの間にやら初夏の風に鯉のぼりが泳いどります。 舞妓ちゃんらは久しぶりにまとまったお休み貰うて、(大体1日から6日まで)それぞれ、郷へ帰ったり友達と旅行したりと羽のばしてはります。「○×ちゃん、今度のお休みどないすんのん」「うちは、お正月帰れへんかったし、家に帰ろ思うてんねやけど。△×ちゃんは?」「うちは□×ちゃんとディズニーランド行こ思てたんやけど、うっとこのお姉さんが『北海道行くし、あんたもついといない』て云われてしもてん。うっとこのお姉さんだけやとまだええんやけど、他に大きいお姉さん2人も行かはるらしいし、そら気ぃ使うしかなんわ」
舞妓ちゃん・自前になる前の芸妓はんらのお休みは、祗園甲部では第二・第四日曜の月2回どす。 あとはをどりの後に5〜6日、七月の末ころに3日位の夏休み、暮れは大体25日くらいからお正月5日くらいまでのお正月休み、といったとこどす。 多めに数えても年間休日55日くらい。しかも朝8時頃起きてから夜の12時1時までのお仕事。年に120〜130日も休日あって、その上口開いたら「有給休暇、有給休暇」ちゅうたはるどこぞのOLはんに彼女らの爪の垢でも煎じて飲ましてやりとぉおす。
舞妓ちゃんにならんと、そのまま高校へ行っとったらお休みもぎょうさんあって遊びほうけていられたもんを、なんで彼女らはわざわざ苦労を求めて祗園町へ来やはったんやろか?てふと思うときもおす。 昔みたいに祗園に生まれ、何の疑問も持たんと舞妓になるちゅう時代やおへん。 他所から来やはるお方はみな、舞妓姿に憧れて来はったんが殆どやて思います。 せやから厳しい仕込みさんの修業にびっくりして辞めてしまう子も仰山いたはります。けど、その中にも厳しい修業を終え、舞妓ちゃんにならはる人も少のおすがいたはります。 店出ししてからはまた舞を始め、いろんな芸事の修業が待っています。ここでも挫折して辞めはる舞妓ちゃんもいたはります。
今の組合長の竹葉さんも、舞妓に憧れてならはったんどす。すでに在籍五十年を越えてはりますが、「この世界しか自分の生きる世界はおへん。辛いと思うたことはおへんし、これからもずっと芸妓を続けとぉおす」て云うたはります。今の舞妓ちゃんも、でけたらお姉さんみたいな芸妓はんになって欲しいて思います。 あしたの祗園町は、みなあんたらの背にかかってますのえ。