京都祇園観光案内(テスト運用)

2001年11月28日

花街と任侠界の義理ごと

今日は花街とヤクザの世界の共通点のお話どす。

初めは盃ごと、ご存知のように、ヤクザの世界では構成員(組員)になるときにはそこの親分さんから盃を貰うんどす。いわば疑似親子関係の成立ちゅうことになんのどす。この関係ちゅうのは血のつながった実の親子より深いものやて云われとります。後、ほんまに信頼でける者同士で結ぶ五分兄弟盃ちゅうのもおます。これはお互い、相手のためやったら命かけてもかまへんちゅうほどの強い絆どす。

花街では、舞妓ちゃんがデビューする、いわゆる店出しのとき、これは本人にとっても花街にとっても一番のビッグイベントどす。そのときには、誰ぞお姉さんに引いて貰わななりまへん。で、店出しのときにはお姉さんと屋形のお母さん、姉芸・舞妓らと固めの盃を交すんどす。このとき結ばれた関係は花街を出ていくか、死ぬまで変わることはおへんのどす。義理とは言え母・姉・自分そして次に出てくる妹との間に結ばれた絆は、ある意味で実の家族よか強いもんなんどす。こうして次から次へと連綿と受け継がれていくのんどす。

次に義理ごとて云われてる、一般社会で云う祝儀・不祝儀のことどすけど、ヤクザの世界ではこの義理ごとちゅうのはそら重いことどして、どんなことがあろうと義理を欠くようなことはしたらあかんちゅうことになっとります。そのため月のうち半分位はどっかの義理事に出なあかんときもあるそうどす。歌にもおましたやろ「義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界」ちゅうて。義理場の中で最も大きなイベントは「襲名披露」どす。ヤクザの世界では、それこそ盛大に全国から親分衆を集めてやらはんのどす。いわばその組織の力を誇示するのが目的みたいなもんどっしゃろか。もっとも最近では暴対法のおかげで、昔みたいに高級外車のショー会場みたく派手な集会は殆ど見かけることは無うなりましたけど。

花街では、今月祗園甲部でその「お家元襲名披露」が二日間にわたり催されましたんどす。勿論全国から舞踊の親、いえお家元がたんとお見えどした。花街も義理ごとはたんとあります。先ほどの店出しに始まって衿替え、舞台のお部屋見舞、お家元の襲名、名取のお祝い、不祝儀など、どれも欠かすことの出けへんことばっかしどす。義理を欠くようなことが続くと、誰からも相手にして貰えんようになってしまいます。狭い花街の中でそんなことになったら、もうそこへはいてられしまへん。せやからみんな精一杯義理を果たそうと頑張ったはんのどす。

後、伝統行事についてどすけど一般社会ではとうに無うなってしもた行事に「事始め」ちゅうのがおます。花街では、毎年12月13日、この一年間お世話になったお礼と、また来年も宜しゅうお頼申しますちゅう意味で、芸・舞妓はんらがお世話になったお茶屋はんとかお師匠はんのとこへ挨拶回りに出かけんのどす。お師匠はんからは「来年もおきばりやす」ちゅうて祝いの舞扇を頂くのんどす。

ヤクザの世界でも「御事始」ちゅうて12月13日ごろ、やったはります。ここ数年中止されてる山口組の事始めは有名どす。子分を代表して、若頭・舎弟頭が親分から祝いの盃を貰い、若頭が新年の決意を述べ、その後親分から訓示があるらしおす。ごろちゅうのんは、例の暴対法がでけてから、13日が土・日にあたるとカタギの方が休んではるときは遠慮せなちゅうことで多少日が前後するらしおす。

アメリカかぶれした風習が横行する中、日本の伝統行事を受け継いで、それを実行したはるのが、花街とヤクザの世界ちゅうのも面白いことどすなぁ。今後もどんな時代になろうとこの二つの世界では変わることは無いて思います。

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投稿者 八代目 : 2001年11月28日 19:39 | トラックバック
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