京都祇園観光案内(テスト運用)

2001年08月31日

地蔵盆

大文字の送り火も済んで、ご先祖さんも気ぃよう冥土へ帰って行かはりました。今年も連れて行かれんとすんでほっとしとります。大文字が済むと、京の町にはなんや秋の気配が遠くに感じられるようになってくんのどす。日中はまだまだ暑いんどすけど、朝夕の風がひいやりとして心地よろしおす。

この頃に京の町中では「地蔵盆」ちゅう催しがあんのどす。これはどんなもんかいなて云うと、京の町内にはそれぞれ、お地蔵さんが祀ったありましてそのお地蔵さんの世話は町内で持ち回りですんのどす。ちなみにうっとこの町内は六地蔵が祀ったあります。なんで地蔵菩薩を祀るのかちゅうと、

これはこの世のことならず 、死出の山路の裾野なる、さいの河原の物語〜

で始まる「地蔵和讃」にあるように、小さい子供が死ぬと親不孝者と云われて賽の河原で石を積む罰が与えられんのどす。で、せっかく苦労して積んだ石を夕方になると鬼がやって来て壊してしまうんどす。そのときに地蔵菩薩が現れて衣の下に子供をかくまってくれるちゅうお話どす。つまり、地蔵菩薩は子供達の守り神ちゅうことなんどす。せやから各町内には必ず祀ってあんのどす。

そのお地蔵さんの縁日にあたる8月24日前後に各町内の地藏さんの前や店先・ガレージなんかに縁台をこさえて、子供らは一日中お菓子には不自由せえへんちゅうイベントなんどす。勿論、お寺さんが来てお経をあげたり、大勢で輪になって直径数メートルもある大きな数珠を念仏を唱えながら回していく「数珠回し」とかいった儀式もあんのどす。主役はもちろん子供なんどすけど、大人向けにも福引きやとか盆踊りやとか企画したはるとこもぎょうさんおました。

ただ、昨今の少子化のせいと、子供らがあんまり喜ばへんようになったため段々とこの地蔵盆が下火になってきたんは寂しいことどす。祗園祭みたいに、観光化したビッグイベントとはまた違おて、地域に密着したイベントどすさかいに。うちらの子供のころは一日中そこへ集まってトランプしたり飲んだり食べたりと騒いでたもんどす。で、この地蔵盆が済んだらあわてて夏休みの宿題に追われたもんどした。

あんだけうるさかった蝉の声もいつのまにやら聞こえんようになって、入れ替わるようにすだく虫の音がゆく夏を感じさせて、なんやもの悲しゅうなってきます。舞妓ちゃんの花火やらすすきやらの花簪もお終い。もうじき秋どすなぁ...

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投稿者 八代目 : 19:36 | コメント (0) | トラックバック

2001年08月09日

舞妓ちゃんと芸妓はん

なんやどさくさに紛れて自民党の大勝利に終わった今回の選挙どしたけど皆はん、ちゃんと投票に行かはりましたか?

「○△ちゃん、こないだの選挙行ったか?」
「へぇ、ちゃんと行って来ましたえ」
「阿呆やなぁ、そんなときは『うちまだ選挙権おへんし、行ってぇしまへん』て云わな年ばれるがな」
「あっ、ほんまどすなぁ、これから気ぃつけよ」

最近の舞妓ちゃんは高校を出てから来はるんが多なってきたんどす。親御はんが、娘の希望に百歩譲っても「せめて高校だけは出てからに」とか云うてはるんかも知れまへん。娘はんの方も、舞妓ちゃんになるて云うたけど、もし挫折したら中卒では社会復帰でけへんさかいて思うてはるのか...

昔は「学校行きさん」ちゅうて中学に通いながら仕込みはんをして、(もっと昔は小学校に)卒業と同時に店出し、その年の都をどりには出てたらしおす。せやから殆どの舞妓ちゃんは10代ちゅうことどしたんやけど、今は高校出てから仕込みさんを一年して、それから舞妓ちゃんになるもんやさかい、店出しして2・3年もしたら成人してしまいます。成人すると、その年の始業式の席で発表されるんどす。成人舞妓ちゅうて...「なんや嬉しいんやら、照れ臭いんやら複雑な気持ちどすぅ」

屋形のおかんとか姉芸妓はんから「年聞かれたら、16やて云うとくんやで」て云われてても、さいでん(さきほど)みたいに、ついぽろっとボロが出ます。もっとも何も聞かんでも、どうみても二十歳過ぎやろちゅうしっかりした妓もいてますけど...その訳は、昔は今と違うて、ニュースソースが少のおした。それに加えて屋形でも舞妓ちゃんには世間のことは何も教えまへん。せやから大根が1本いくらするとか、世の中のことは何にも知らん「無菌状態」に創られていったんどす。

ちゅうのも、昔は「おぼこさ」が舞妓ちゃんの命どした。年も小さいさかいに夜も更けてきたら宴会の席でもいねぶりしてる妓が多かったらしおす。あくまでもお座敷の飾り物・人形みたいなもんどす。「おおきに」「おたの申しますぅ」の二言ですべて通るようなのどかなもんどしたんやろ。

今の舞妓ちゃんはそうやおへん。芸妓はんにも負けん位場持ちのええ、しっかりした舞妓ちゃんもいたはります。カラオケも歌うし、お酒も口にしはります。せやから、お客はんの中にも「呼ぶのんは舞妓ちゃんだけでええわ」ちゅうお方もいたはります。いつの間にやら、「芸妓はんの添えもん」から「舞妓ちゃん」ちゅう別なジャンルを確立したようにも思えます。

加えて昨今のアマチュアカメラ爺・婆達が舞妓ちゃんの心の火に油を注ぎます。彼らは道で芸妓はんと舞妓ちゃんを見かけたら、必ずちゅうてええほど舞妓ちゃんの方にレンズ向けたはります。「そんなんよか隣の芸妓はんの方がなんぼか値打ちおすえ」、て思うこともしばしばどす...周りのもんも、本人も「舞妓ちゃんはあくまで、ええ芸妓はんになるための研修期間」ちゅうことを忘れたらあきまへんなぁ

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投稿者 八代目 : 19:34 | コメント (0) | トラックバック
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