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さて、今回は「ご飯食べ」のお話どす。幼児ことばみたいで、ええ年したおっさんが使うのんはちょっと抵抗がおすけど。で、どんな意味やねん?て、どすか。「ご飯食べ」ちゅうのんは芸・舞妓ちゃん等を、お花代つけて食事に連れてってあげることなんどす。勿論、おかん連中には花代はいらしまへんけど(笑)

「おとぉはん、今度○×ちゃんと一緒にご飯食べ連れっとぉくれすな、長いこと行ってぇしまへんし、□△はんがよろしおす。」
「せや、うちも長いこと焼肉食べてぇしまへんし、そこがよろしおす」
「しゃあないなぁ、ほないつが都合ええねん?」
「へぇ、すぐたんねてみます」
二人とも、ばたばたと奥の方へ。こういうときはおいどが軽おす。
しばらくして戻ってくると、
「今度の水曜日どしたら、うちも○×ちゃんも空いてますねん。その日でお頼申しますぅ」
「わかった、ほな6時半に迎えにくるさかい待っとって」
「おおきにぃ、お頼申しますぅ〜」

舞妓ちゃんや若手の芸妓はんは、ご飯食べ大好きなんどす。美味しいもんが食べれる、ちゅうこともおすけど、何より白塗りして(※1)引摺らんでもええちゅうこと。夏場やと特に喜ばれますなぁ。ご飯食べのときは、大体(※2)そんなりで来やはりますけど、明日髪結いかえる、ちゅうときなんかやと洋服で来たりもします、勿論髷をほどいて。

若い妓等は、ほんまよう食べはります。
「あんたら、普段屋形で食べさして貰うてへんのんか?」
「そんなことおへん、ちゃんと食べてますえ。けどお外で食べる方が美味しおす〜」
べべが汚れんようにと。お店が貸してくれはった割烹着やエプロンをして、次から次へと口に放り込むのんを見てると、ほんま気持ちよろしい。

「あ〜、もうあきまへん。お腹いっぱいで苦しおす」
「うちも、最後の石焼きビビンバがこたえたわ」
「はいはい、お腹も身のうちどっせ、程々にしとかんと。」
食事中は静かやったんが、またひとしきりきゃあきゃあとしゃべっとります。

「ほな、ぼちぼち行こか」
「へぇ、ごっとぉはんどした。ほんなら帰りしなに都路里はんで抹茶パフェ、よろしおすか?」
「え〜まだ食べんのかいな、どこに入るんや?」
「甘いもんは別腹どすぅ、なぁ、○×ちゃん」
「そうどす、それにうちら肉体労働者どっさかい」
皆さんお元気どす。

※1 引摺り  裾までの長いべべを引摺る、つまり芸・舞妓はんらの盛装どす、芸妓はんは鬘かぶって白塗り。
※2 そんなり 引摺りの逆、芸妓はんは洋髪で普段のべべ。舞妓ちゃんは、頭はそのままで、べべはふつうのもん、勿論、白塗りはせぇしまへん。 


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このコンテンツは祇園藤村屋が過去に発行したメルマガ祇園藤村屋電子瓦版の記事を再構成したものです