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[歌詞]
黒髪の 結ぼれたる思いには 解けて寝た夜の枕とて 独り寝る夜の仇枕
袖は片敷く妻じゃと云うて 愚痴な女子の心も知らず しんと更けたる鐘の声
昨夜の夢の今朝覚めて 床し懐かしやるせなや 積もると知らで積もる白雪 |
[口語訳]
お互いの髪がもつれ合うような疑いの気持ちも解けて、仲ようねんねした晩もあったのに、おっさんまた出ていきよった。余計に独り寝が寂しいやんか、口ではうまいことばっかし云うてからに、おなごの気持ちも分からんと、ゆんべはまた夢にまで見てしもた。憎いけど帰って来てほしいなぁ、ほんま雪は何も知らんと降ってはるわ |
■衿替えについて■
衿替えとは刺繍をほどこした紅いのんやら白いのん、一枚がうん十万もする舞妓ちゃんの派手な衿から真っ白の芸妓はんの衿に替えることどす。そう、舞妓ちゃんから芸妓はんになる儀式を云うのんどす。
衿替えの一週間前位から、舞妓ちゃんは黒紋付に三本襟足の正装 で、髪は先笄(さっこう)という江戸時代に若妻がしたていう髪形に結うて、お歯黒をさすのんどす。これは昔の舞・芸妓はんは
今みたいに自由に結婚とかでけしまへんどしたさかい、かわいそ やちゅうていっぺんは若妻の恰好さしてあげたんやそうどす。
この恰好でお座敷を廻り、祝い事の時に舞われる「黒髪」ちゅう 舞を舞うのんどす。少女から大人へと変わるひととき、その艶やかさに観る者は思わずぞくっとさせられます。
口語訳 襟替え解説 たかまろ氏
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